「午前中は大丈夫かな」
夏至は太陽が最も高く昇り
昼が一番長く夜が一番短くなる。
二十四節気の真ん中折り返しの節。
◆杖塚のこと
「森を出ると蒸し暑いね」
昭和42年県民の森に指定され
広場として整備された杖塚に上がる。
風があるだけいいかもな。
「土佐水木も実になった」
食べれるろうかねぇ。。。
◆峠に下る
来た道を少し引き返して
古の峠を結んだ杣道に入る。
南に向いて多雨な土佐の山間は
杣人の集落が多くあったと伝わる。
標高約950mの赤良木峠に立つ。
ここは昭和のドロマイトの採掘で
茶屋があった峠の姿は失ったが
やがてまた草木に覆われるだろう。
「石鎚がはっきり見える」
雨上がりの澄んだ空気に包まれて
雲を纏う姿は霊峰の名に相応しい。
石鎚は仰ぎ見る山だろうな。
◆近道に入る
伐採は来てないかぁ。。。
峠から三辻山への近道に入る。
この道は植林を抜ける作業道となる。
「下から見ても ずっと東で」
この杉は誰が植えたのだろう。
ここは三辻山の北斜面にあるため
雨も陽射しも少ないから生育も悪い。
今回も伐ってくれん様やね。
山道は杉檜を縫う急登を登る。
植林だから乏しい土壌でも
根を張って生きる命達がいる。
「ナンカイアオイ」
『条件の良い場所は強い種が占め
弱い種は悪い処に追いやられる』
君らは高山植物と同じなんだなぁ。
◆稜に上がる
三辻登山道に入った山道に
笹床が現れれば主稜線は近い。
「頂上行くろう?」
山道の先に忘れられた
昭和の園地の東屋が現れる。
まだ暑くないきね。
青嶺あり青嶺をめざす道があり 大串章