猿板

遊山黒子衆SARUの記録

梅雨明けの三辻遊山 とんび

      

 「あれは鳶?」

 市街地や海辺に多いタカ目タカ科の鳥。
背面はいわゆる鳶色で主に小動物やその死骸を食う。
「ぴいひょろろ」と鳴き日本を含む旧世界に広く分布。

◆杖塚のこと
 家から最も近い標高1200m
県立自然公園でもある工石山の
広場でいつも開けた空を観ている。

「トサミズキが実になった」

今年も種子を結び命を繫ぎ
その実は運ぶものの糧となる。
それが絡合する自然の姿と思う。

                             

◆赤良木峠のこと
 杖塚で一息つけたのち
来た道をすこし引き返して
古の杣道で赤良木峠に下った。

 空の高層雲は氷の粒で
まだ寒気の影響が残っていて
午後は不安定になりそうだなぁ。

 「石鎚も綺麗に見えゆう」

 空気が澄んで眺望が効く
剣に上がれば大山も見えるろうね。

◆近道のこと
 峠から三辻山北面の人工林を登り
南西から始まる登山道に合流する近道。

                             

この杉たちは手入れがされて
南斜面ほど日当たりは良くないが
陽が昇れば日光が地に届き草木も育つ。

 「植物は強いね」

                      

◆稜のこと
 近道故の急な登りを終え
山道は三辻山の稜線に乗る。
稜線は風雨が強く厳しいため
追いやられた種の住処となる。

 山道は山頂直下に設けられた
今は草木に埋もれた昭和の園地に至る。

                       

 頂上に上がろうや。

                  とんび来てそのまま過ぐる夏野かな  蝦名石蔵