「残雪やぁ」
ここも雪が積もったがや。
高知市内に雪が降らずとも
1000mにはしっかり降っていた。
◆腰を下ろす
「賑やかになったね」
稜線の南斜面にある杖塚は
陽当たり良く北風を防いでくれる。
寒波が解るんだろうな。
「土佐水木の花芽が開きゆう」
マンサク科の落葉低木の花。
高知県の蛇紋岩地帯のみ自生するための名。
花は三~四月に葉に先立って開花する。
◆峠に下る
杖塚から少し引き返し
工石山登山道を別れ峠道に入る。
この道はかつての木地師の道で
遠く津野山郷まで続くと言われる。
山と山との鞍部となる峠は
稜線で最も低いところとで
人の往来だけでなく風も集まる。
山道は標高約950mの峠に出る。
◆赤良木峠
工石山は石灰岩の山だから高く残り
変わった形の岩が多いのもそのためで
赤良木峠はセメントの原料となる鉱石
ドロマイトの採石が長く続いていた。
「石鎚山見えんね」
春は大気中の水分が増えて
空色や山など遠くのものが
霞んで見えることがある。
この日四国には南の大気が流れ込み
気温が高いせいもあるだろうなぁ。
◆近道に入る
峠から植林作業道の近道に入る。
この日香川県高松市で黄砂が観測された。
春霞に加わるものに花粉もある。
杉は30年で開花して花粉を出し
林業が正常な頃は30年で切っていた。
しかし安い外材が林業を衰退させ
「マイ箸」が間伐にとどめを刺した。
山頂へ登ろうや。
近道は急登で気温も高く
少し身体が暑くなってきた。
上で風に当たろう。
春なれや名もなき山の薄霞 芭蕉