猿板

遊山黒子衆SARUの記録

霧の筒上山 其の二

kurokoshusaru2005-11-08

 傘に当たる雨音が気持ちよく、
雨も又良しで、来て良かったと思えてきました。
 霧の中で木々のシルエットが浮かび上がり、
まるで紅葉の衣装をまとい、
妖しいダンスを踊っているように見えてきます。
 そんな「おとぎの森」の景色に見とれながら、
いつの間にか、筒上山頂上直下にある大きな修験場につきました。
 修験場には一般の登山者は入れませんが、
少し離れたところに一般に開放された古い避難小屋があり、
今回昼食のために使わせてもらうことにしました。
 バーナーを点けお湯を沸かして一息。
小屋の壁の落書きを見ていると、
「昭和37年○○山岳会登山」等々古いものが多く見られ、
私が生まれる前から、多くの登山者に利用されてきたことが伺われます。
私も20代の頃、山の相棒と吹雪の中この小屋にたどり着き、
晦日を迎えた事を懐かしく思い出しました。
 誰が持ってきてくれたのか毛布があり、
心地よくくるまっているうちに、
あの不思議な眠りに落ちていき、
今回も頂上を踏まない登山者でありました。


おしまい