猿板

遊山黒子衆SARUの記録

夏至に入る三辻山遊山 朴の香

                       

 植林を抜け主稜線に乗る。
風が強い稜線は土壌が乏しく
リョウブやツツジなど菌根で
共生できる木々が根を張る。

◆赤良木園地

 一本しょうや。

 稜線から緩やか下った山道は
昭和の頃の忘れられた園地に至る。

   小腹空いたなぁ。

 「持って来たで」

 木曽の友人が送ってくれた朴葉餅。
山の気と頂く朴葉の香りが気持ちいい。

   正に本物に勝るもなしやな。

                      

◆調和する森
 三辻山山頂部には自然に生えた
橅と樫が並ぶ暖冷温樹木が混生し
それは緯度と標高の気温によるもので
暖温帯にある土佐らしい風景だろう。

 情報収集や山道具などが発達しても
山での遭難は減るどころか増えている。

 自分の都合ではなく自然だろう。

       大丈夫だろか?

 「なにが?」

 自然は人の都合など関係ない
完全中立の絶対的な存在だから。

    なんでもないよ (^_^)

 

◆森の中のもう一つの森

 「真っ白になった!」

伐採で開けた視野は雲に覆われた。

 山旗雲が上がってきただけで
まだ下山するまで大丈夫だと思うよ。

                                   

 「綺麗な霧やね」

山道は僕らがこの山のまほらと思う
主稜線にある鞍部になった処に降りた。

 森は霧も雷も待っているよな。

 生命を造った雷は命を奪うこともあるが
自然には要らないものは一つも存在出来ない。

 「霧が出てきたね」

   tochiko 霧を泳いで帰ろうや。

                 

◆かえり道
 雲と霧の明確な区別はないが
その違いは山に入るものには大切で
それは経験により身体で感じ得るもの。
教科書では決してわからないこと。

 「涼しくなったね」

 こんな気持ちがいい体験は
予測し選ぶことが出来る先にもある。

 今日の自然は味方してくれたな。

                 

 もう少しで山に行くのは自由になり
あとは残された時間を有益に使うこと。
そうなれば人混みや曜日の制約などない
もっと深い美しさに出会えると思っている。

「ぽろぽろ降ってきた
    河童予報大当たり!」

 かよう山だからな。

                                                       

 「頂き物やけど朴葉餅どうぞ」

      「そりゃ~珍しいね!」

 このご縁も大切にしたいね。

    頂きます (^_^)

                  山気吸ひ朴の香深くわが胸に  稲畑汀子