猿板

遊山黒子衆SARUの記録

夏終わる加持ヶ峰遊山 夏木立

                             

 登り口から見上げる
標高1400mの山頂部までの森は
緑の盛り「万緑」を迎えていた。

◆森を観る

 「大きいアブが出た」

 標高1000m静かな登り口の
気温は24度といい汗掻けそうだが
今日も街は30度を越える暑さだろう。

 アブは噛まれても
すぐに痒さがひくからな。

 さあ 入ってみるか。

                                                       

◆分け入る
 山道は杉の植林から始まる。
人工林と自然林との見分け方は
自然では同じ木が3本並ばない。

 言われてみたらそうだなぁ。

 「クロモジが実をつけた」

そんな人が作った林の林床には
自然に生えた低木や草が根を張り
この日夏の花が実を結んでいた。

               

こんな些細なことが目にとまり
美しいと見ることが出来ることも
温かい人生に繋がると思っている。

◆自然林に入る
 程なく山道は自然林に入る。
ここは急な岩盤の為土壌が乏しく
僅かな窪みになどに根を広く張れる
木がいるが重く太い幹にはなれない。

 「ままこな咲き出した」

ゴマノハグサ科の半寄生の一年草
夏に白い斑点のある花を穂状に開く。

 「丸花蜂もがんばっちゅで」

                     

◆滝へ下る
 岩盤の急登を終えた山道は
娘に化身した大蛇が棲むと伝わる
落差20mの龍王の滝の元へ下る。

 「2週間で水減ったね」

とうとうと川が流れる欧州などと違い
降雨が急峻な山を駆け下りる日本では
時々訪れる台風も必要だろうと思う。

                     

 「土佐人は台風好きやもね」

 幸も不幸も人間の都合だけ。

 確かに口には出さないけど
ワクワクする遺伝子があるよな。

                   とろゝ汲む音なしの瀧や夏木立  蕪村