水しぶき
飛び散る粒状になった水
龍王の滝はいつになく
近づくことを躊躇するほどの水量でした。
梶ヶ森は
水源を追う道
草木や地面に残る水を感じ
沢は小さな水を集め
白い筋となってしぶきを上げて流れていました。
「こんな時はめったにないね」
枝の先に残された
ヤマボウシの総苞片に夏の名残がありました。
薄暗い森で鳴くヒグラシの合唱とともに
帰る道で
出会えました。
林内の暗い場所では日中でも鳴くヒグラシは
水しぶきの音と重なり
夏の終わりを告げる音になりました。
昇天の巌を押へて瀧飛沫く 野見山朱鳥