山道は白髪山が南東に張る
「東尾根」に乗り急登となり
ここまで霧の中静かだった森に
山麓から冷たい風が吹き上がる。
◆尾根を登る
ゆっくり登るがでぇ！
尾根に乗れば一気に標高を稼ぐ。
山麓から吹き上がる風は雪も運び上げ
残雪も増えるだろうから慎重を要する。
私が最も恐ろしいのは残雪だ。
昨年もこの時期に四国の高山で
残雪による滑落死亡事故が発生した。
それは無知では済まなかった。
◆残雪の道
東尾根を登る山道は
樅の樹林帯を東に避けて
切れ落ちた地形に沿い登る。
眼下の斜面は笹を隠す固い雪が乗り
表面は厚い氷の層と考えた方がよく
万が一滑り落ちると100mは一瞬で
加速もついて助かる見込みはない。
また寒暖繰り返す時期の残雪は
木の根元の雪が盛り上がる事が多く
過去私は足を滑らせ樹々をすり抜け
滑り落ちる登山者をみたことがある。
この様な天候では上空から見えず
ヘリコプターによる救出は困難で
冬山に入るものは重い自己責任を
背負う必要があると思っている。
◆樹林を抜ける
内心心配していた危険箇所は
この日のメンバーの経験と装備で
下りもまず心配ないことが解った。
この斜面の横切りを越えれば
四国らしい山頂部の笹原に出る。
風がなかったら
そこで一本しょうやいか。
何をして何を思ふも山残雪 細見綾子
