登山者は私達だけの登り口。
気温は1℃とこの時期では暖かく
暑くなれば上着を脱ごうかね。
◆森のこと
標高約1400mの登り口は
亜寒帯精の落葉樹林の中にあり
駐車場の周りも橅の大木がいる。
山道は笹床の中を縫う
ダケカンバの森からはじまる。
カンバは強いなぁ。
岳樺はカバノキ科の落葉高木。
シラカバに似るが樹皮は淡褐色。
亜高山のシラカバより高所に生ずる。
◆雪のこと
「アイゼンはいらんね」
下部支持層の上の雪は
湿雪だが新雪が平均20cm乗り
冬靴のエッジが効き歩きやすい。
山道具それぞれの機能と危険
双方の特徴を正しく理解して
その日の道を見て選ばないと
事故に繋がることがある。
特に冬道具を理解するためには
出来れば経験者と共に山に入り
実地で経験するのが安全だろう。
◆尾根のこと
南側山麓を横切る山道は
程なく南東に延びる尾根に乗り
ほぼ真っ直ぐすすむ急登に入る。
「雪が増えたね」
東側に深く切れ落ちた地形は
気圧差を生み風と共に雪を運ぶ。
50cm乗ったかな。
「歯医者さん！！」
「河童ちゃんらぁ
来ちゅうろうって言いよった」
相棒のマタギKさんは先行したと言う。
◆森を抜ける
「先に行きよって」
今日はいい写真が撮れそうやね。
四国の山に長く通うものが
狙うポイントは似たようなものだな。
尾根筋を追う山道が
西に折れ始めたら風景が開ける。
「さあ
空に出るでぇ！」
青空をしばしこぼれぬ春の雪 原石鼎
