標高2000m以下の四国山地の
夏の稜線は暑く縦走は辛いものだ。
「水がどっさりいるしね」
◆休憩する
暑い山頂から木陰の森へ下り
忘れられた園地で腰を下ろした。
森は陽を遮り風が吹き抜ける。
夏だから木陰が気持ちいい。
「来年も
この桜追いかけるで」
深山の山桜も葉を広げ
涼しい木陰を落としてくれた。
◆三辻の森
身体を冷まし森に分け入った。
気温が下がる森は吸血虫が少ないが
蟬時雨だけは心地よく響いている。
蟬は高いところにいるからね。
「シロモジが実を結んだ」
クスノキ科の落葉低木。
葉は浅く3裂し果実は球形。
木に芳香があり白文字油を採る。
山毛欅や樅まで達した極相林は
命も豊かで鳥の囀りが充ちている。
◆森の中のもう一つの森
「草の茂りも盛りやね」
今年の光合成は十分だろうか。
次第に鳥の囀りが近くなり
この山のまほらに辿り着く。
tochikoの言う緑は極まり
これから森の風景は秋に向かう。
来週は立秋に入る。
今年の一期一会が楽しみだ。
人通る幅を残して草茂り 木村定生