猿板

遊山黒子衆SARUの記録

雨上がりの三辻遊山 結

                             

 ここの山桜に気が付いたのは
3年前ここで出会った花吹雪だった。
その風もない淡い新緑に包まれる様に
静かに降りる花びらを今も覚えている。

◆出会いのこと

 「根元には落ちてないね」

先回満開を見せてくれた山桜。

 昨日の雨が強くて流れたかな。

 「この花びら山桜やろう!」

雨に濡れて葉の色を透かす花びら。

 この赤は山桜の萼(がく)やね。
散ったとは言え今年も会えたな。

                      

◆三辻の森のこと
 森は新緑から若葉に移ろう。
降雨や天気により進みが変わるが
紅葉と違って新緑の見頃は長い。

           

 新緑、紅葉、夕焼け、朝焼けなど
自然は変化の時こそ美しい風景を見せる。
特に私は雨上がりの森が好きだなぁ。

 「雨上がりの風は
    気持ちがえいねぇ」

今日は大陸の乾いた空気が優勢で
吹き上がる風もサラサラしていた。

◆森の中のもう一つの森
 今年も若葉を出したシダが
まほらに導くように並んでいた。
奥物部の森に沢山いたシダも
鹿の集中で失われた風景の一つ。

                       

この日はウグイスの囀りが多く
まほらで鳴らすtochikoの鳥笛にも
答えているのもウグイスだった。

 奥物部と鳥の種類が変わるな。

 さあ 帰ろうか。

まほらの出口に根を張る石楠花は
少ない花芽を咲かせ見送ってくれた。

                                         

◆かえり道
 植物は実だけでなく花びらも
ガクも森の生き物の糧となるもので
この有機物(炭素)こそ生命の根幹だ。

 低炭素社会って一体なんだろう。

「虫が葉っぱ食べゆう」
     「小さいカタツムリ」

 虫がいてカタツムリもいて
全てが他の役に立ち森を成して生き残る。

                      

ハナイカダも咲いた」

    不思議な造形やねぇ。

                                      

 そんな雨上がりの森は
様々な命の喜びに満ち溢れていた。

 ボクらもお腹へったな。

 花も一段落ですね。

 「梅雨に入るしね
   一時静かになりますね」

でもまた私達は来ますから。

                                                           

五月雨の降り残してや光堂  芭蕉