つづら折れに曲がる
峠への道には
タキユリが満開を迎えていました。
1ヶ月前から
ずっと蕾を付けていて
小さく堅いそのつぼみを
車の窓から追っていました。
「いよいよ最終やね」
月の満ち欠けのように
季節は過ぎて行きます。
かよう道の
テンニンソウの葉は
より虫の食事の跡が目立ち
それはそれで夏の終わりを語っているようでした。
道ばたのクサアジサイ
雨上がりの蜘蛛の巣
空蝉にトンボ
命の営みが見える道で
鶯と蝉との合唱に包まれました。
起ち上る風の百合あり草の中 松本たかし