「やっぱり白髪山はえいね」
雪が本気で降ると入れんきね。
山道は東に深く切れ落ちた
尾根を登り眺望が開けてくる。
◆森を抜ける
尾根を離れ森を抜け
広い山頂部を覆う笹原に出る。
今日は雲一つ無い晴天で
空に飛び出した気分になる。
◆空に出る
広いと言っても斜面は急で
眼下に土佐の風景を見下ろし
山道はつづら折りに登ってゆく。
「高知でねぇ」
あれは高知市の海岸の方やね。
◆南の斜面
南東方向には
安芸の海が光っている。
南に海を望むこの広い斜面は
雪が乗れば楽しいフィールドになるが
林道の積雪も多く近寄りがたい場所でもある。
「ここが一番
白髪山らしい風景やね!」
◆真澄の冬空
特にこの時期は
空気が澄んで眺望が効き眼下に
山波の彼方水平線に続く風景が広がる。
白髪山は空が主役の山。
「河童ちゃん
正解やったね」
これから雪はいつでも見られる
今日はこの空を観に来たのだから。
櫂あらば冬青空へ漕ぎ出でむ 嶋田麻紀