猿板

遊山黒子衆SARUの記録

寒露の剣山 山粧う

錦色へ

 9月末頃始まった紅葉は
山麓に下りはじめていた。
 良い感じじゃないですか。


◆空が開くこと
 お気に入りだった
山毛欅の老木が折れていた。
 「大木は切っちゃらにゃ
       山が動くがよ」



かつて杣人がそう言っていた。
 「大木の下には何ちゃあ生えんき」
薄暗い森に穴が開き陽が差し込む。
「森の巨人」は人だけの想いなのだろう。
                  
◆紅葉のこと
 最低気温が8℃を下回り
平均気温が18℃になれば
落葉樹は冬眠の準備に入る。



そして今年の秋雨前線は
四国にも恵みの雨をもたらせた。
                   
一雨ごとにすすみ
一雨ごとに散る紅葉は
新緑と違い見頃は短い。



◆落葉のこと
 いつもの山道には
落葉が目立つようになった。


                
「紅葉」は「新緑」の逆で
落葉樹は大切な葉緑素を幹に仕舞い



光合成で身体を作った老廃物を
葉に詰めて大地に還し冬眠に入る現象。


                
その老廃物をも美しいと感じるのは
日本人独特の感性かも知れない。



                         静かなり紅葉の中の松の色  越人