秋の低い雲の中にある
ぐんぐん高度を稼ぐ防火帯を登り
稜線に近づき霧が明るくなってきた。
「ちょっと 休憩するで」
◆稜のこと
薄雲に覆われた
東西に標高約1400mの
なだらかな稜線を張る
国見山山頂部の森に入る。
落葉樹の緑は薄くなり
冬眠の準備をはじめたようだ。
◆山毛欅のこと
この稜線は冷温帯林となり
ブナなど落葉広葉樹の住処となる。
「見て見て
実が入っちゅうで!」
ブナは結実の周期が長く
豊作年は5~7年に1回の間隔で訪れる。
今年のブナは
期待できそうだな。
◆雲の間のこと
頂上部鞍部のヤセ尾根は
麓から吹き上がる風が集まり
山頂を覆っていた雲が切れた。
「わぁ~ 綺麗!!」
高層雲の下に風で毛羽立つ
雲海が広がる風景があった。
これも通って見える
一期一会なのだろう。
霧の道現れ来るを行くばかり 松本たかし