「明るくなったね」
今年四国に幾つか台風が接近し
その強い風で木々の葉が落とされ
随分空が見えるようになった。
◆水を溯る
今年は梅雨入りが遅く
木々が葉を出す頃少雨で
森は緑色は薄いままで
秋を迎えようとしている。
「紅葉は一雨ごとにすすむよ」
仙人池のばっちゃんが言われた様に
紅葉も新緑にも雨が必要なんだろう。
◆秋に入る
山は澄んだ空気に覆われ
森の中は次第に明るくなり
木々の暦は確実に秋に向かっている。
「ここもヤマボウシ」
小さい秋が実りがはじめていた。
◆照り入る
このころは
冬眠を控えた木々が
深い呼吸をしている様な
澄んだ空気が気持ちよく
葉緑素を仕舞いはじめた葉が
光を透かしまた輝きはじめる。
その光のトンネルの向こうに
かつて信仰心が集った古いお寺が現れる。
旅は日を急がぬごとく山法師 森澄雄