「それは土佐では“やけど”
ハダカイワシのことだよ」
「鮎の白子で遊んで」
カウンターの向こうの優しい笑顔。
黙ってカウンターに座れば
馴染みの財布と好みを心得た
四季折々の料理が出てくる。
私達は20年のお付き合いで
料理のあれこれを客として学び
若い板前さんの
巣立ちも見送ってきた。
しかしこの土佐料理の老舗は
今月末からの休業が決まり
また一つ馴染みの店がなくなる。
鰹切る俎いつも水流れ 今瀬剛一