猿板

遊山黒子衆SARUの記録

立夏の三辻山の遊山 石楠花

                             

 「これくらいの
   汗なら気持ちいいね」

 急登を終えた山道の先が
明るくなり山域の主稜線に乗る。

◆忘れられた園地
 植林を抜けた主稜線は
風が強いために土壌が乏しく
リョウブなど菌根で共生できる
木々が根を張り笹と調和する。

 「一本するろう」

稜線から緩やか下った山道は
昭和の頃整備された園地に至る。

   今日は山頂でしょうや。

                                                       

◆山頂のこと
 赤良木園地は山頂直下にあり
低木を潜る山道を5分足らずで
標高1108mの三辻山頂に上がる。

  ここも茂ったなぁ。。。

 「えい風吹きゆうで」

 この時期の不安定な天候で
寒暖押し合うお陰だろうと思う。

   「珈琲持って来たで」

                             

 「桂浜まで見えますね」

 山頂でお会いしたご夫婦と
初夏の気持ちいい風と眺望を
共有出来て良かったなぁ。

◆森に帰ること

 「山桜終わったね」

 tochikoは先週咲いたとみたが
先の大雨で花びらも流された様だ。

 また来年のお楽しみだな。

           

 三辻山の山頂部北斜面には
自然に生えたブナと樫が並ぶ
暖温帯と冷温帯樹木の混生林で
日本のブナの南限の一つとなる。

 通ううちに気付いたことだが
この森の木々には若いものが多く
それはこの道を敷いただろう杣人や
木地師が関わった証だと思っている。

                       

◆咲くこと

 「栃が花穂立てちゅう!」

 森のシャンデリア。

 先回咲いていた橅の花は
散った様だが今年は豊作の予感だな。

 

 「まだ虫が来てないで」

 蜜や花粉を求めるアブなど。
開いたばかりの花びらは瑞々しい。

 今年は表年かもなぁ。。。

                                                   

 今年の風景を見つめながら
古の杣道で山懐深く分け入った。

 「今年も道標が開いてくれたね」

                石楠花や朝の大気は高嶺より  渡辺水巴