猿板

遊山黒子衆SARUの記録

清明の奥物部の森の遊山 芽吹

                             

 いつもの登り口の空は
薄い雲に覆われていた。

 午後は不安定かもな。

◆分け入る
 標高約1000m気温は11℃。
風もそこそこ吹いてくれる様で
今日は汗掻くことなく歩けそうだ。

 さあ 行こうか。

 この時期は寒気も押して
今日も午前中が勝負だろうな。

                                                   

◆林道のこと

 「囀りが増えた」

 山道は昭和の頃に敷かれた
古の峠道に入る林道から始まる。

 姿の見えない鳥たちが帰ってきたか。

 「この桜が一番早い」

 林道入口の桜が咲いた。
40年観てきたこの山桜も
歳の数成長したんだろうな。

                                                         

 ここは日当たりいいからね。

この森の草木が目覚める時期は
同じ種でもその根を張る場所で
変わる風景を観察するのも楽しい。

◆若葉のこと

 「芽吹きがはじまった」

 深山の林道に根を張った
卯木や躑躅の芽吹きが始まった。

    柔らかい色だなぁ。。。

                     

 大地から始まる木々の芽吹きは
水の吸い上げの差と言われているが
僕は高木が低木らに陽が当たるように
待ってくれているように感じている。

それは太陽活動で変動する気候の中
個々で対応できるはずはないので
「利他」の群で生き残るしかなかった。
だから「利己」は淘汰されたのだろう。

           

◆草花のこと

 「やっぱりネコノメは早い」

渓流岸に生じるユキノシタ科の多年草
早春に頂に淡黄色の小花を集め開く。
2裂する果実が猫の瞳孔に似るのでいう。

 スミレも蕗もハシリドコロ
今年もきちんと春を感じ花を開く。
人が雑草と呼ぶもの達も花を開く。

 街にも添ってくれる命たち。

  
                     

 春って
喜びの季節なんだろうなぁ。

 「こんな風景
     四国じゃここだけよ」

                 空の色濡るると仰ぎ木の芽吹く  吉年虹二