「今日も静かやね」
登り口の気温は3℃で
先週より10℃低く今春の
三寒四温の激しさを感じる。
◆春の芽吹き
「クロモジが咲きはじめた」
登り口は日当たりが良いからなぁ。
どんな年毎の変化があろうとも
草木は今年も春に移ろっている。
◆分け入る
登り始めは昭和の頃の
鉱山へ続く林道から始まり
強くなった風景の陰影に
陽射しも春になった事を感じる。
「やっぱり今年は遅いね」
昨年この頃には咲いていた
ネコノメは若葉を出したところで
林床の灌木も息吹いたばかりの様子。
この後は強い寒の戻りがなく
程よい春雨を願うばかりだなぁ。
◆人工林
山道は林道を別れて
工石山に続く杉檜林に入る。
この植林は比較的手入れされて
僅かに林床に射す陽射しを好む灌木が
今年の新芽を開き花も咲かせていた。
うばゆりはユリ科の大形多年草。
山野の林下などに生じ高さ約1メートル。
葉は大きく卵形で7月頃茎頂に緑白色の花を開く。
鱗茎を食用としていた。
◆雑木林
程なく山道は薄暗い林を抜け
春の陽射しが届く二次林に入る。
ここも夏に樹々が葉を開けば
緑のトンネルとなり涼しくなるなぁ。
日当たりが良い南斜面の二次林は
樹々の背が低く灌木の芽吹きが早い。
「これから
来る度風景が変わるね」
また今年も通わないかんな。
大地の苔にも春の光りが見える。
「杖塚上がるろう?」
スプリング・エフェメラルが
そろそろ咲いちゅうろうきねぇ。
美しく木の芽の如くつつましく 京極杞陽