猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩春に入る三辻山遊山 黄沙

                             

 「黄砂で霞んで海が見えんね」

三辻山南斜面の植林が伐られて
高低差による風が吹き上げはじめた。

 昔から黄砂は春の季語やもね。

◆森の中のもう一つの森
 黄砂は太古からある自然現象で
鉄分、ミネラルを海水にもたらして
植物プランクトンを増やしてくれるから
日本は豊かな漁獲を得ることが出来た。

 山道はこの森のまほら
森の中のもう一つの森に入る。

 自然は人が考えるほど単純でなく
現象でなく源流を見ることが大切だろう。

                                     

◆花に会いにゆく

 「ヒカゲツツジ
     観に行こうや」

今回の伐採で通れなくなった
周回道に進み黒滝峰に向かった。

 「スミレが咲いた!」

 今年花鳥巡礼の為に買った
スミレ色ザックが呼んだかな。

      

◆高嶺の躑躅

 「ヤセ尾根が好きやもね」

 tochikoの記憶を辿って
岩稜に群生する躑躅に会いに
標高1056mの頂を目指した。

 岩が剥き出しになる尾根などに
躑躅や石楠花が根を張ること多く
この主稜線から突き出した岩稜は
四国にある殆どの躑躅と会える処。

                             

 「残念まだ蕾やったぁ」

 えいやんか。
また会う楽しみが増えたから。

    さあ 帰ろうか。

◆かえり道
 20代から山を歩きはじめた
僕たちはこれからゆとりを持って
山を歩くことが出来ると思っている。

                                                   

「五体満足で生きている
  山歴は何の役にも立たない」

 これは僕らが尊敬する
先輩山屋に教えてもらったこと。

 「今日は林道を下りてもうや」

そう言われると今の山岳遭難の殆どが
中高年になって山を始めた方々が多く
やはり先を急いだ結果かなとも思う。

 「やっぱり咲くらかなぁ。。。」

 一本の桜銘木もいいものだが
咲くらが成す美しさも格別だよな。

 名所って日本には沢山あるよね。

                  鳥の道きらりきらりと黄沙来る  石寒太