猿板

遊山黒子衆SARUの記録

深山の桜遊山 若葉

                             

 「雄しべが五つが山躑躅
     雄しべが十が御躑躅

 複雑な地形の生える処によって
花期が変わる山は長く花を楽しめる。

◆咲き散ること

 「桜やね」

 雑木林に入る道や草に
舞い降りた花びらが乗っている。

 「あれや!」

若葉の向こうに山桜色が見える。

 三辻の桜に期待できるな。

                                                           

◆若葉のトンネル
 雑木林の芽吹きは進み
茂っても陽を透かす若葉が
空気まで新緑色に染めていた。

                 

 花の盛りを過ぎた躑躅
あせた色合いも良いものだなぁ。

 「杖塚に上がる?」

今日はそのまま峠に降りよう。

           

◆赤良木峠
 杖塚は今回寄ることなく
葉が茂り鬱蒼としてきた
古の杣の道に入り峠に下った。

 「北は曇りやねぇ」

瀬戸内海に添って東西に尾根を張る
石鎚山地は厚い雲を被っていた。

 山岳気象の見本の様だな。

   

 「あれが石鎚?」

あれは筒上と手箱で
石鎚山は雲の中にいる。

 午後は不安定かもな。

◆近道に入る
 峠から三辻山への近道に入る。
ここは北斜面で杉檜が大きく育ち
大地に届く陽射しは乏しいところ。

 「ヤマルリソウ
   四国は瑠璃色じゃなく白が多い」

 四国は植生豊かでも独特なんだな。
この薄暗さでも健気に咲いてくれるよなぁ。

                            

 近道と言っても
いや近道がゆえ登りも急だ。
アキレス腱を伸ばし登り
三辻山への道に入った。

 「だんだん茂ってきたね」

 さあ 今日こそ
あの山桜は咲いてるかな。

                        若葉して御目の雫拭はばや  芭蕉