猿板

遊山黒子衆SARUの記録

仲春の加持ヶ峰の遊山 春水

                                                           

 修験場であった事を伝える
鎖場に架けられた階段を登り
真名井の滝頭に上がった。

◆修験場のこと
 滝頭の二段の滝が見せる
四季の風景を楽しみにしている。

 今日は冬枯の陰影だ。
これも一期一会の風景でいいな。

◆滝頭のこと

 「珈琲あるで」

 いつも休憩する
真名井の大岩の岩頭にある
東屋には四季折々の風が吹く。

                             

 「今日は風がないね」

 珈琲とお菓子の静かな一時。

 ほんとに今日は
穏やかな休日だなぁ。。。

◆森の中のもう一つの森
 東屋で一休みした後
僕らがこの森のまほらと感じる
紅葉谷と名付けられた渓に降りた。

                                           

 この森の渓の回廊が導く先に
佐賀山谷川出流ところがある。

 「囀り 近づいたね」

稜線近くで湧き出す春水は
冬眠る命らを目覚めさせる。

 源流と思えないほど
穏やかな流れに写るもう一つの森。

 姿の見えない鳥たちは
ここから生まれて来るかもなぁ。

                             

◆かえり道
 2001年3月24日芸地震
僕らは愛媛県のある山小屋にいた。
tochikoは小屋でお母さんと一緒に居て
僕は小屋の犬と荷揚げの最中だった。

 「クロ どうした鹿がおるんか?」

 その日の朝は不思議なほど静かで
命の気配を感じない森を小屋の犬と荷揚げに
降りる途中、突然何かに怯え僕に吠え始めた。

 その時から僕は全ての自然現象は
何かの伝達手段で繋がっているけど
人だけに突然襲ってくるのではないか。
そう思いはじめたきっかけになった。

                                           

 「また来てくれたがぁ」

 tochikoも楽しそうに返事をしていた。

これが幸せでいいんじゃないかなぁ。

      いただきます (^_^)

                 ひと吹きの風にまたたき春の水  村沢夏風