猿板

遊山黒子衆SARUの記録

仲春の加持ヶ峰の遊山 春鳥

                                                           

 「秋の名残り」

 コウヤボウキはキク科の落葉小低木。
山野に自生し秋枝先に白色の頭状花を頂生。

      いい佇まいだよなぁ。。。

◆滝頭のこと
山道は深山の滝を成す
大岩の右岸岩盤を登り
龍王の滝頭に上がる。

 「今日は水の透明感」

 龍王の滝頭には上部二段の
滝が流れ込む大きな釜があり
四季折々の風景を楽しんでいる。

 雪だけが冬の風景じゃぁないな。

                                           

◆若い森のこと

 「陽が射してきた」

 山道は佐賀山谷川を渡り
永く先人が関わった森に入る。

 温かくなってきた。

 「見て クリケムシ
   こっちは天蚕やろうか」

節は啓蟄に入り虫たちが活動を始める。

 囀りも近くなってきたもね。

                     

 「ミソサザイ!!」

 ミソサザイ科日本産で最も小さい鳥。
山地に棲息するが冬に人里近くに降りる。

     帰って来たんだね。

◆名残のこと
 山道は石門の様に並んだ岩を通り
先人が関わった信仰の域に入った。
ここは大岩が堰き止めた土砂が堆積した
なだらかな地形で石積なども残っている。

                                           

 この平坦地には信仰だけでなく
杣人の炭焼跡なども残されている。

その自然を見据えた木材利用により
森は健全に保たれ多くの命と共生したが
今の「再生紙」や「マイ箸」などにより
祖先の森林は荒廃したと感じている。

                 

◆信仰の境内

 「ミソサザイが付いて来ゆ」

 渓の両側にある尾根が迫り
深山のお寺の石段を登りはじめた。

 今日はホントに穏やかだなぁ。。。

 苔むした石段の先に
鬱蒼と冬枯た森の中から
深山の古いお寺が現れる。

 「休んで行くろう」

                  翔てば野の光となりて春の鳥  長瀬きよ子