猿板

遊山黒子衆SARUの記録

弥生に入る三辻山の遊山 雪見

                             

 北風吹き付ける山頂から
樹々に護られた森へ下った。
その森は「持続」などではなく
種を永らえる「前進」を続けている。

◆自然に帰る
 高度経済成長頃の公園整備も
忘れられ大地に還ろうとしているが
これも自然の中で命を繫ぐための
大切な「前進」だと僕は思っている。

◆雪化粧

 「三辻は2回目の新雪

 島国日本には色んな雪が降り
それを見定めるのも山力だろう。

 今年はリセットしたきね。

     

北に中国山地が座る四国は
軽い雪が降り層になったり
積雪が雨でなくなる事もあり
何度も新雪を歩ける年もある。

 「これが四国の雪やね」

 特に四国山地の南にある
土佐は何度も新雪を楽しめる。

 残雪は危ないからな。

                                   

◆森の中のもう一つの森

 「やっぱり大きいね」

この杣道で一番大きいブナが
護る奥にこの森のまほらがある。

 「これ霧氷でね」

雲と気温と風で霧氷は生まれる。
森のまほらは風が吹き上がる
南北に下る渓筋の天辺にある。

 風が吹き抜けた形だね。

                     

また四国を出た山道が始まるけど
今の通い続ける山道は変わらない。
その方が百の山の求めることよりも
道は深まり山力になると感じている。

◆かえり道
 今年も残念な雪崩遭難が発生した。
救助での二次遭難の犠牲も少なくない。
そんな多くの尊い命が犠牲になっても
教訓にはならないことが僕は悲しい。

                                               

 完全中立な自然には人の想い
まして経験や装備などは関係ない。
ただただ頭を垂れて生きてこれらた
先人から学ぶことが大切だ思う。

山は陽が夏に傾きだすと雪仕舞いに入り
雪崩は雪を押し固めゆっくり溶かして
春の農業や酒造などの恵みとなるもの。

                                   

 そんな雪崩は人さえいなければ
優しく美しい自然現象なのだから。

                    いざゆかん雪見にころぶ所迄  芭蕉