かつての郷境の峠にある
韮生山祇神社の鳥居から
頂上神社への参道がはじまる。
◆祈りの域へ
「さあ核心やねぇ」
山頂までの約標高差400mを
ほぼ真っ直ぐに石段が積まれ
山頂直下は斜度45度を越える。
両側に聳えるスギの巨樹は
御神木として斧を入ることなく
枝を伸び伸び空に広げている。
「今日は
よぉ見えるで」
「えぇですわ!」
私たちの街その彼方に太平洋を望む。
いつも山の神々は見守ってくれている。
◆参道を登る
江戸の年号も見られる参道は
ここで修行する者が積んだのか
篤い信仰を寄せた里人が積んだのか。
いずれにしても静寂の中にある参道は
いまも確かに聖域であり続けている。
「優しいお顔
してはりますなぁ」
参道にあるお社や狛犬には
先人の温かい心が感じられる。
◆信仰の道
150年前の年号が刻まれた
神門の奥に導く道標の先には
八十八ヶ所霊場に納められた
石仏たちが静かに待っている。
どれ一つとして
同じ表情のない仏様。
この仏様たちが
いらっしゃるから
僕らこの山に惹かれる。
仏様ありがとうございます。
◆信仰の心
かつてマタギや杣も
いつも山の神が見てるから
細心の注意を払って山に入った。
そんな自然に対する
畏敬の念をなくすと
自然を甘く見て酷い目に遭う。
そうですよね
仏さま。
神の山仏の山も眠りけり 福田蓼汀