山道は長笹谷の渓辺に降りる。
渓は渇水で水量は減っていたが
静かになった水面に紅葉を映し
海に向かい流れ下っていた。
◆長笹谷
「渓の風が
気持ちえいね」
日陰は少し寒い空気が
冬の訪れを感じさせた。
◆渓を渡る
渓辺で一休みの後
橋を渡りカヤハゲに入る。
えいねぇ。。。
杣が架けた橋の下流にある
滝に向かって流れ落ちる渓が
四季折々の風景を見せてくれる。
◆山懐に入る
長笹谷を渡った山道は
急峻に切れ落ちた斜面を登り返す。
ここは尾根の南斜面となり
陽に輝く照紅葉に包まれる。
斜面を登った山道の対岸に
聳え立つ白髪山が影となり
逆光の紅葉を際立たせてくれる。
今日 僕は
この風景に会いに来たんだな。
◆ヌル谷のナロ
尾根を巻いた山道は
なだらかにヌル谷に添い
奥物部の森のまほらに帰る。
「これは
コムラサキシキブやね」
ムキタケも開いたな。
この深山の広い平坦地は
僕らの40年の思い出が詰まった
森のまほら 森の中のもう一つの森。
休んで行こか。
心願の色あらばこの照紅葉 渡辺昭