猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩秋に入る三辻遊山 竜胆

                       

 飛行機の音と共に
パラパラ雨粒が落ちてきた。
これは排気と翼の渦で生まれた
水滴が地上に落ちてくるもの。

◆杖塚に上がる

 「雨 止んでるね」

 自然休養林の広場整備された
杖塚でいつも空の様子を観ている。

 早駆けしてよかったな。

 「ムカゴ付いたで」

 そろそろ
ポロッと落ちそうだ。

                                         

◆赤良木峠
 杖塚で一休みしたのち
来た道を少し引き返して
古の杣道に入り峠に下った。

 杣道は標高約1000mの峠に至る。

昭和の頃のドロマイト採掘により
かつての先人が往来した面影ないが
それも自然から見れば一時だろう。

 「石鎚は雲の中やね」

 あっちは降っていそうだね。
紅葉を迎えた石鎚は賑わうだろうが
この時期の空読みは慎重に願いたいな。

                       

◆近道に入る
 峠から杣道を別れて
三辻山への近道となる
種稜線の北面に植えられた
杉檜林の作業道に分け入った。

北の斜傾地に植えられた杉檜は
日光を求めて高く幹を伸ばすため
背高くなるが痩せたものが多い。

 でも年輪は詰んでるろう。

                             

しかし人と共生関係にある杉檜は
伐られる時を楽しみに待っている。
自分の種を残すため利他的に絡合して
これからも人と共に生きようとしている。

◆稜に乗る

 「今日は曇りやき
    リンドウ閉じちゅう」

 近道から主稜線の登山道に乗り
忘れられた昭和の園地に下りはじめる。

                                                   

 「一本しょうや」

 雨は降ってないが
風が涼しくなってきた。

 変化の風来たきね。

                  りんどうに白雲うごき薄れけり  柴田白葉女