かよう道に
いっせいに開花したトサノミカエリソウ
クサアジサイの葉に紛れて
その存在を見逃していた。
シソ科でテンニンソウ属
山地の木陰や谷間に群落をつくるごく普通の小低木
九月から十月にかけて、薄紅色の花が下から順に咲く。
京都大学の小泉源一郎博士や
旧制高知高等学校の教授だった吉永虎馬さんは
長岡郡大豊町の梶ヶ森で採取した。
それらの標本によって
小泉博士は、牧野博士が付けた学名と
オオマルバテンニンソウという新しい和名を
昭和十年の「植物分類地理」四巻に発表した。
トサノミカエリソウの名は
昭和十五年初版の、かの有名な「牧野日本植物図鑑」に出てくる。
それにはミカエリソウの変種として
毛の少ないものがトサノミカエリソウだと紹介されている。
現在では、オオマルバテンニンソウが通り名だが
高知県では今もトサノミカエリソウの名が使われている。
=高知新聞社 土佐地名の植物 風の彩り より引用=
咲いたばかりのものも
風に散りかけたものもありましたが
昆虫たちは時を惜しむように
花に群がり蜜を集めています。
この花時は今
雨上がりの森に耳には
聞こえない羽音が響いているようでした。
名は花にさだまる秋の小草かな 二柳