猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小暑に入る三辻遊山 沙羅

                             

 「虫が造った模様」

 森で生きる為の調和には
時に命のやり取りも必要だ。

 虫も造形に参加してる。

◆赤良木園地

 「ルリと鶯に
   これはサンショクイかな」

 忘れられた昭和の園地は
鳥らの囀りと蟬時雨で充ちていた。

◆共生の森
 自然に生えたブナと樫が並ぶ
暖温帯と冷温帯樹木が混生林は
現在の気候と緯度が生んだもの。

そして点在する大木の合間に
まだ幹が細い若い木が多いのは
炭焼などで人が関わってきた証。

自然の恵みで暮らせた日本人は
自然を神とし頭を垂れて生きて来た
それは幸運な事だったと僕は思う。

                             

◆花落とすもの

 「これヒメシャラやね」

沙羅はツバキ科の落葉高木。夏椿。
六~七月椿に似た白色の五弁花を開く。
樹皮は黒を帯びた赤褐色で薄く剥がれる。

 今年は沢山落としたな。
これもヒメネズミらの餌になる。

 ネズミ科アカネズミ属のネズミで
山地の森林に生息する日本固有種。

                             

 「これは栗の花」

 清々しい香りが漂ってる。
栗も先人が関わった証だな。

◆霧の道
 山道は緩く下りはじめ
森深く分け入るごとに
山を覆う霧が濃くなった。

                       

 「はっきり見えるね」

 この山道沿いで
一番大きいブナの木。

 シルエットが綺麗だな。

 

 今年も大きく開いたシダ。

山道は真夏の装いに移ろう森の
一番深いところに分け入った。

                 地に落ちて沙羅はいよいよ白き花  山口草堂