「ツクバネソウの実が落ちた」
黒い実を落としたあとの
紅葉したガクが残ったのだろう。
森の時計も綺麗に終わったな。
◆稜に乗る
植林に射し込む陽を追って
山道は急斜面を葛籠折れに上がる。
ここはいい運動になるわぁ。
近道は三辻山登山道に交わり
稜線に根を張る潅木の林に入る。
「山頂は
真っ白けっけやね」
◆赤良木園地
山道は忘れられた
山頂直下昭和の園地に至る。
そうやな山頂はパスやね。
「この前のは
風の台風やったきね」
ここまでも
まだ青い葉が沢山落ちていた。
特に裏白の朴葉は目立つな。
◆自然林
標高約1100m三辻山の森は
アカガシとブナが並んで生える
暖温帯と冷温帯樹木が混生する森。
「今年の実
また どっさり付けて」
これも台風で落とされたもの。
今秋はブナも栗も豊作の様だ。
なんぼか
動物らも喜ぶろう。
◆分解者たち
「そろそろ
生えだしたね」
雨を待つのは植物だけでない。
ベニハツなど先駆けて
晩夏から初秋に開く茸たち。
本番は紅葉時期だな。
分解者がいるから森がある。
全ての命は絡合し他の役に立ち
人間も役割を担い生まれてきた。
私は森を歩いてそう感じている。
茸（たけ）山の茸の孤独に囲まるる 三谷昭
