猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小暑に入る三辻遊山 山霧

                             

 苔むした石積が支える杣道は
工石山の南山麓の集落から始まり
山域の幾つかの峠を繫いだ古の道。

◆杣の道
 四国山地の南に位置する土佐は
雨に恵まれた山岳地帯が多く良材を産し
山地の層も厚かったため漂泊民と言われた
木地師が長く滞在する里が点在していた。

 そんな人の気配を感じる道を
第二の人生も歩きたいと思っている。

                             

◆森の中のもう一つの森

 「ここはいつも
      鳥が多いね」

 僕がこの森のまほらと感じる
森の中のもう一つの森に入った。

 稜線の窪んだ地形は風を集め
今日は北の山麓から吹き上がる。

 鳥には楽な道なんだろうな。

                             

 さあ 帰ろうか。

 南の伐採が終わったら
以前の様に周回できるかな。

◆かえり道

 「これ何!?」

 陸上の貝は何よりも乾燥を嫌い
観察するには雨の日がいいだろう。

 陸の貝だな。

                     

この日雨に遭うことはなかったが
雨には雨だけの美しい風景があり
今日は霧が醸す幽玄の風景だった。

 「猟師Kさんも好きよね」

山に入る方それぞれ山道があるが
遺伝子でなく大脳で生きると決めて
大地に2本足で降り体毛を捨てた猿は
身体一つで山に入ることが難しくなった。

                 

だから行く山を観て空を見定め
自らの経験で装備を選び山に入り
そこで観て感じたことを記憶して
身を守る体験にする事が大切だろう。

しかし大脳の記憶には限界があるから
一期一会の風景を残せる「カメラ」と
感じたことを書き残せる「ブログ」は
有意義な「山道具」だと思っている。

                 

 「気持ちよかったね」

 霧が光って
    綺麗だったなぁ。

                 山霧に幹の如くに我は濡れ  上野泰