猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋来る加持ヶ峰の遊山 大樹

                             

  梶ヶ森8合目にある
歴史を1300年溯る定福寺奥の院
深緑に鎮座する佇まいが長い時を刻む。

◆信仰の場
 いつも軒下をお借りする遍照院は
定福寺の修験者の宿坊とし建てられ
昭和の頃ユースホステルとして賑わった。

 人間はどんどん変わるものだ。

 奥ノ院の上流にある古の修験場は
今は手付かずの森の中で眠っている。

           

◆自然の森
 住宅建材で壁材は非常に重要で
大理石と漆喰と無垢の木以外は
人の精神に威圧感を与えるという
多くのしっかりしたデーターがある。

それは「石」と「土」と「木」だが
私達の家は白い壁を塗ったりしている。
白い壁紙を貼りカーテンをしいた四角い部屋は
非常に悪いが殆どはそういった部屋に住んでいる。

                           

また人間の心とは不思議なもので
合板の上に薄い無垢の木を張っても気が付く。
人間の精神は非常に鋭敏で長い間に
ダメージを(免疫に)受ける影響が大きい。

 

通常の値段の家に住んでいれば出来ないから
時々山に行ったり海に行ったりすることによって
日常的に人工的な住宅だとか街の夾雑物だとか
心理的な圧迫から逃れることが出来る。

                                                   

それが時に自然に行って「いいな」と思ったり
「今日は伸び伸びするな」と思う感覚なのだろう。

◆真名井の大岩
 緑生い茂る渓底から急登を終えた
山道の先に急峻な地形を成す大岩が現れる。

                 

「真名井」とは神聖な井戸のこと。
古来日本人は清水湧き出すところを
神聖な場所として大切に祀ってきた。

 善悪の区別などは自然から感じ取り
「教祖」「経典」を要さなかった日本人は
注連縄を巻き自然と祖先を神として祀る
樹や岩など対象物を求めたのかもしれない。

                             

稲妻に立ち上りたる大樹かな  上野泰