猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋来る加持ヶ峰の遊山 葉月

                             

 「モミジガサが咲きはじめた」

 キク科の多年草。若芽は山菜の「しとぎ」
山地の林下に自生する葉は大きく掌状中裂
夏に帯紫白色の細長い頭状花を総状花序に開く。

◆滝頭に上がる

 「涼しくなった」

 山道は滝を成す大岩を登る。
滝頭に近づき沢風が吹き始めた。

 滝の力のお陰だと思う。

豊かな自然の恵みを受けてきた。
しかし自然災害も多かった日本は
自然と祖先を神として崇めて
助け合い分かち合って生きて来た。

                                           

◆自然に入る
 龍王の滝の上流域には
祖先が共生してきた森がある。

地殻活動の最前線にある日本は
複雑な山岳や地形が形成されて
世界で唯一温暖な温帯にあって
四季がある気候は多くの種を養った。

                            

また7~8万年前アフリカから出た人類が
5万年前日本に達した跡が千以上発掘され
その頃凍った大地だった中国からではなく
遺伝子解析でも海岸沿いできた説が有力だ。

 「落葉が目立ってきた」

8月葉月の名の由来は「葉落ち月」の転とも
木の葉がようやく色づく月だからとも言われる。

 今年の役割が終わったものだろうな。

◆信仰の域へ
 石門のように並ぶ岩をとおり
ここに置かれた信仰の場に入った。

 「栃の実も大きくなったで」

産毛に包まれて可愛いものだな。

                                         

この境内の周りには鬼胡桃や山梨
栃など実の成る木が植えられている。

緑深まった樹々の奥から
    定福寺奥の院が現れる。

 「休んで行くろう」

                  胡桃樹の天蓋あをき葉月かな  富安風生