折角持って来たき
ここで練習していこうか。
今日Y'sには昼食のための
テントを持って上がってもらった。
◆経験する
雪山で人間は裸で一晩越せない。
そして山で一番怖い「パニック」は
経験と道具である程度回避できる。
行く山の気象に合わせた道具を選び
正しく使える経験を身につけること。
それがないとどんな道具も意味がない。
「テントって暖かいですね!」
それが解っているだけで
パニックはある程度防げる。
さあ自分で撤収なさい。
◆口福時
「お昼は東屋に帰ろうや」
そうやね。
雪がチラチラ降りゆうもねぇ。
この日もY'sの屋台の女将料理。
献立は「火鍋風ラーメン」だった。
雪景色に溶けてゆく湯気。
暖かいって本当にいいなぁ。。。
◆かえり道
私達は雪は決して楽しくない。
雪山で止まれば死に繋がる事もある。
なので雪をはしゃぐ人とは
一緒に歩かないようにしている。
「雪が降れば初心者コースはない」
雪山登山は夏道+雪だけではなく
低温、風、氷、道具、歩き方、使う筋肉
発汗などなど加えるものはまだある。
下山出来たのは「実力」でなく「偶然」
あげく遭難死を見てきた私たちは
昨今の雪山のツアーやネット発信目的の
単独者が増えている事が怖くてならない。
自然は恵みも与えるが犠牲も求めるから
先達が築いてきた経験を確実に身につけ
自分が出来る構えを怠らず維持すること。
その心こそが大切な装備と思っている。
今冬の寒波は厳しいらしい。
さあ おっかなびっくりドキドキしながら
空と雪の顔色伺って年末に分け入ろうかね。
湯気立に遠く枯木といふものあり 下村槐太