近道は三辻山の道に入る。
この時稜線を覆った雲は薄く
森が纏う淡く白い光の中で
tochikoはバードコールを鳴らす。
◆赤良木園地
稜線の山道は森へ緩やかに下り
山頂直下の忘れられた園地に至る。
「だいぶん空が開いたね」
傾きかけた秋の陽射しが
森の中に届くようになった。
◆さえずる森
今日も山頂に登らず
秋に移ろう森に分け入った。
渡りが始まったようだ。
ここに留まる囀りに合間に
聞き慣れないものがいた。
tochikoのバードコールに
答えるものもあって楽しいものだ。
◆夏の終わり
「タマゴタケ
今年初めてやね」
茸は季節の変わり目を告げるもの。
森には晩夏の菌が傘を開いていた。
ギンリョウソウは見納めやな。
イチヤクソウ科の腐生植物。
夏に白花を茎頂に単生し緑葉を持たない。
茎と鱗片状の葉は白色で半透明。ユウレイタケ。
日本で橅の南限の一つとなる
三辻の森はこれから秋に移ろう。
◆森のまほら
tochikoはバードコールを鳴らし
三辻山のもう一つの森に分け入った。
光る雲に覆われた森のまほらは
姿の見えない鳥の囀りが充ちていた。
やはり時間と重力と
水は相関している =nurimono=
坂鳥の胸をうたるる笞(しもと)かな 暁台