「頂上行くでねえ」
稜線の山道は緩やかに下り
頂上直下の忘れられた園地に至る。
今日も行く価値ありやな。
◆頂から望む
「冬将軍がやって来た」
家から2時間で立つ山頂は
北から吹く強い風の中にあった。
そうやね
やっと来たな。
「北は雪でも高知は晴れ」
高度1800m前後を移動する雪雲を
東西に稜線を張る四国山地が受け
瀬戸内側は雪が降っても高知は晴れる。
土佐は南の降雨は受けるが
北の寒さからは護られるお国柄。
今日も土佐湾は陽に輝いていた。
◆初冬の音
標高約1100m三辻山の森は
アカガシとブナが並んで生える
暖温帯と冷温帯樹木の混生林で
それぞれ落葉の時期が異なる。
雪がある程度積もり溶けると
落葉は黒く地面に張り付くため
今回は初冠雪が大地を覆う前の
枯葉を踏むことも目的だった。
「このカサカサが気持ちいい」
おいおいtochiko早すぎだって!
◆森の中のもう一つの森
「ギンリョウソウモドキの実や!」
ツツジ科シャクジョウソウ属の多年草。
見た姿はギンリョウソウと同じだが
秋に開花し数はずっと少なく実が違う。
「ここは意外と
珍しい植物が多いよね」
そんな不思議な場所ってあるよな。
「岩が見えだした」
この森の中のもう一つの森もそうで
人間に感じられるものはまだ少ないのだろう。
「今日は鳥が鳴かないね」
何かを感じて山麓下りたのかもな。
落葉踏む山は見えねど山の中 見學玄