日が傾き始めて
のろさんとの会話が途切れた。
「綺麗ですねぇ・・・」
◆夕照
茜色の陽が差し始め
変化のときがはじまり
音のないドラマに包まれる。
◆鹿が啼く
陰りゆく山麓から
ピーィ ピーィと
牡鹿の鳴き声が聞こえてきた。
西熊の大きな陰が
三嶺に続く稜線に現れた。
びいと啼く尻声悲し夜の鹿 芭蕉
◆日暮れ
日没のあとは
アーベントロートに染まった。
瀬戸内海も茜色に輝く。
ドラマの終わりを告げるように
石鎚山のシルエットが浮かび上がた。
この場所で
この風景に出会うためには
通い続けるしかないだろう。
宇宙に抱かれる
これこそ「天幕」
野宿ならではの
風景でしたね。
寝袋に顔ひとつづつ天の川 稲田眸子