登りはじめて1時間
空が開けた場所で
ザックを下ろすことにした。
◆潤すこと
地質調査で地下水脈を当てた
「ダイヤモンド水」の水場。
この奇跡の水は今も枯れることなく
訪れる人の喉を潤してくれる。
移植されたキレンゲショウマが
今年も蕾を膨らませ始めた。
◆初夏の歌
谷風通る橋を渡り
再び森の中に入ってゆく。
「今年初めてや」
春蟬が鳴く。
山の虫たちはそれぞれ
担っている役割がある。
◆赤い実咲く道
「咲いちゅう 咲いちゅう♪」
= アカモノ:別名イワハゼ(岩黄櫨)=
ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木
北海道、本州(主に近畿以北の日本海側)
四国の低山帯〜亜高山帯の
日当たりのよい場所に生える。
花が終わると萼が成長し
果実を包み込み赤色の偽果となる。
この偽果は食用になり
甘みがありおいしい。
「果実酒にしても綺麗なで」
◆牛車道
徹底的に破壊された森は
鳥や風が運んだ種子で
順調に元の姿に還っている。
この高山性植物もその課程にあり
やがてブナやコメツツジが優勢になり
役割を終え姿を消していくのだろう。
「河童ちゃん
ここも茂ってきたねぇ」
自然は強いものですね。
一山の春蟬に身を浮かせゆく 鍵和田秞