薄暗い杉林を抜け
春陽射しが注ぐ雑木林に入り
芽吹いたばかりの若葉が光る。
「ここらにオンツツジが・・・」
◆芽吹くこと
「ほら!咲いちゅう」
山地に自生するツツジ科の落葉低木。
分布は太平洋側の夏雨の多い地域に
標高1,000 m まで幅広い気温帯に生育する。
この二次林は工石山の
南斜面にあり南国土佐らしい
暖かい陽射しが注ぎ芽吹きも早い。
◆一本立てること
杖塚に上がり真澄の春空に出る。
この自然休養林の広場に植えられた
花木が花の盛りを迎えていた。
= 連翹 =
モクセイ科の落葉低木の花。
当初は中国から薬用として伝わった。
早春に黄色の四弁花を枝ごとにつける。
= 山桜 =
山地に自生するバラ科の高木。
葉は卵形で若葉は赤褐色。
4月頃新葉とともに白花を開く。
= 土佐水木 =
マンサク科の落葉低木の花。
高知県の蛇紋岩地帯にのみ
自生することからこの名がある。
さあ 行こうか。
◆峠のこと
工石山への山道を離れ
いったん三辻山との峠に下る。
「今日はよぉ見えるね」
標高950mの赤良木峠は
寒気の影響で澄み切った
雲ひとつない春空だった。
北東方向に座す石鎚山系も
それぞれはっきり見て取れた。
峠を後に杉林を登る
三辻山への近道に入る。
この近道はしばらく急登となるが
この日湿気と気温が程よく汗を掻かない。
ほんと気持ちがいい日だ。
大いなる春日の翼垂れてあり 鈴木花蓑