清流仁淀川を見下ろし
天を差す様な鋭い山容で聳える
越知町にある伝説の山「横倉山」に
久しぶりに登ることにしました。
◆幼帝の眠る山
1185年。平家と源氏が命運をかけ
激突した壇ノ浦で敗北した平家軍と共に
8歳で崩御されたされる安徳天皇は
実は平氏の残党とこの山に落ち延び
23才で崩御されたとする伝説があります。
◆植物の宝庫
その横倉山の石灰岩で形成される
独特の環境は貴重な植物の宝庫。
越知町に隣接する佐川町で生まれた
植物学者牧野富太郎もこの山に通い
多くの新しい植物と出会いました。
◆夢のつゞき
幼帝を最後まで守り抜いた
七十余基の家臣の墳墓が囲む
巨木の立ち並ぶ森に社殿が鎮座する。
その静けさに歴史の重みを感じます。
正治二年(1200)23才で崩じた幼帝は
都を忍び従臣とともに蹴鞠をして遊ばれた
この「鞠ヶ奈路」に奉葬されたと言われています。
その横倉山の麓を流れる仁淀川は
今は誰も真実を知らない浪漫と共に
供御水を汲んだと言われる「安徳水」を
大海に向かって流し続けています。
ひたひたと夢のつゞきの木の芽山 矢島渚男