猿板

遊山黒子衆SARUの記録

彼岸の加持ヶ峰遊山 蟻地獄

                             

 修験場であった事を伝える
鎖場に架けられた階段を登り
真名井の滝の頭に上がった。

◆滝頭の風景
 滝頭の上にある二段の滝が
見せる四季折々日本画の様な
風景が僕の楽しみの一つだ。

 陰影が際立ってきたな。

◆大岩の頭

 「秋の風やね」

 いつも風が吹き上がる
真名井の大岩の岩頭にある
東屋でいつも休憩している。

                             

 日本には色んな雪が降るように
風も四季折々その日時々の風が吹き
その風を感じられる処で一休みする。

 「ここの蟻地獄も
   カゲロウになったでねぇ」

 じっと待って命を繫いだろうね。

                                         

◆森の中のもう一つの森

 「囀りが帰って来た」

 岩頭で一休みして
佐賀山谷川が出流ところ
この山のまほらに下った。

 「台風避けて来たかもな」

地下から湧き出す水は涼風となって
森を冷まし姿の見えない鳥の囀りも
一緒に流れてくるように感じた。

 「このすぐ奥が源流やきね」

「真名井」とは神聖な井戸のこと。 
古来日本人は清水湧き出すところを
神聖な場所として大切に祀ってきた。

 ここは先人が祈りの山とした
梶ヶ森の「まほら」だろうと思う。

    さあ 帰ろうか。

                             

◆かえり道
 森に無数の生物がいるように
一本の木にも無数の細胞が生きていて
これから葉は紅葉し死んで大地に還り
その木は生きて命を繫ぐことが出来る。

 それはまさしく「利他」であって
「利己」の命は生き残ることは出来ない。
そして人間も個の死があるからこそ
他の「生」があり命を繫ぐことが出来る。

                             

そんなことが見えてくると
森に生きるどんな命にでも
身近に感じ親しみを覚える。

 「気持ちいい遊山やった」

 僕らは「我欲の心」などではない
「利他」が導いてくれる温かい山道を
仲間と共にこれからも歩きたいよな。

                                                       

 「今日も
   河童天気予想大当たり」

 あぁ。。。
まあ結果よければいいとしよう (^^;)

 「まだ山も暑いろう?」

   「風は涼しゅうなったで」

 「そりゃえいわ 芋天食べや」

                                                       

 こんな女性同士の
平行線な会話も楽しいものだw

           頂きます (^_^)

                 じつと待ち死ぬまで待てる蟻地獄  齊藤美規