猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩春に入る三辻山遊山 日雀

                     

 「キブシ 咲いた」

 山地に生ずるキブシ科の落葉小高木。
春、葉に先立って多数の黄色花を穂状に垂らす。
果実を黒色染料とし材は杖・柄・楊枝などとする。

◆登り口のこと

 今日は暖かくなりそうだな。

 桜の開花予想が大外れしている様だが
18世紀末からと言われるの人間の化学では
植物の生長はまだまだ分からないことだらけ。

 「今日も一番乗り」

 静かな標高約900mの登り口。
気温12℃は汗掻かず登れる気温だ。

 風が気持ちよく感じるだろう。

                       

◆林道のこと

 さあ 行くか。

 三辻山への山道は
昭和の頃廃坑となった
鉱山に続く林道から始まる。

                                                   

 「ネコノメ咲いたで」

10日前吹雪の時は葉っぱだったな。

      「クロモジも」

何を感じて咲いたんだろうなぁ。

 

 芽吹きを見定めたい僕は
確かに観察しながら歩いたが
今年も不思議な体験をした様だ。

                             

◆植林のこと

 「陽射しが温かくなった」

 林道を別れた山道は
この山域の主峰工石山に至る
植林から始まる登山道に入る。

 「日雀(ひがら)?」

 繁殖期に入ったようで
二羽(つがい?)で飛んでいる。

 ここなら雨風しのげるだろう。

              

 冬でも薄暗い植林にあって
その環境で共生する命らは
正確に今年の暦を刻んでいる。

 人が「自然破壊」出来るのかなぁ?

 

◆二次林のこと

 「お日様は暖かいね」

 山道は公園整備された後
風や鳥が運んだ種も根を張り
共生をはじめた二次林に入る。 

                                     

 冬は落葉するオンツツジ
若葉を開き始め気持ちよさそうだ。

 

 姿の見えない鳥たちの
囀りも色んな種が加わって
春の森は喜びが満ち始めた。

             

 「杖塚上がるろう?」

日向が気持ちよさそうだな。

                  日雀来てうながす春の山開き  吉澤卯一