猿板

遊山黒子衆SARUの記録

啓蟄の奥物部の森遊山 小雀

                             

 「鳥が来た!」

 二十四節気は冬に土中で
巣ごもりしていた虫たちが
目ざめ活動を始める啓蟄に入る。

◆囀ること

 「コガラやね」

この小さな姿ほど美しく
強い命が人にあるだろうか。

 そろそろ繁殖期やな。

 伝統脳で生きる命らは
雌を想い遣る繁殖期があるが
200万年前大脳が1000ccを越えた
人の雄は正常な繁殖期を失った。

                 

◆雪のこと

 「週末ごと雪が違うね」

雪は上空の気温、水分、風など
複雑な関係で形も重さも変わる。

 いい比較が出来たな。

この時期の稜線の残雪見るより
山懐の雪の観察が山力となって
この林道は地形による風の変化で
変わる雪は気付きと学びが得られる。

                                         
 「稜線は風強そう」

山の命らは山懐で凌いでいる。

 こんな時に稜線上がるのは
人間だけなんだろうなぁ。。。

◆雲のこと

 「陽が射した」

 北西から流れ来る雲は早く
南岸低気圧の発達を告げていた。

 稜線は雪あらしかもなぁ。。。

                             

 山力の根幹「観天望気」とは
空の状況を観察し天気を予測すること。
雲形や動き、風、太陽や月の見え方など
自らの経験を基として天候を見定めること。

 「山の天気は別物やもね」

 人は道を見失った時などにも
自分に都合のいい判断をしがちだが
自然の中では人間は脇役にもなれない。

◆凍ること

 「氷柱どうやろうね」

 今年は寒暖繰り返したため
どこも氷は成長しなかった様で
ここも期待できないかもなぁ。

                             

 「こんな感じ」

 お天道様は春に傾きはじめ
地熱も相俟って渓水の水温が変わる。

 残雪は固く締まって来るよな。

 そんなことを確認出来た林道を
僕らはさらに山懐深く分け入った。

                     水響き小雀囀り紛れなし  石原栄子