奥物部の雪はいつも優しい
大雪に阻まれ
ようやく下山した思い出も
振り返ればもて遊ばれた優しい雪でした。
山また山の
連なる懐に落ちる雪はとても軽く
谷筋から吹き上がる風が
ようやく芽吹いた小さな葉の上に雪を運んでいました。
空に映る白い稜線を追いかけて
知った森の懐
誰も歩いていない道を
優しい新雪と戯れながら歩くと
木々に留まる野鳥が
春の訪れを知っているのか
優しい雪と戯れていました。
Mothertreeの根元に降りた雪も
大きな根元を包んでいるように見えました。
冬の鳥光の粒となつて去る 仙田洋子