ろくべえさん
かおさんのかよう里山は
朝陽射す明るい落葉樹から始まりました。
足元でよく見かけた大きなドングリは
調べてみると温かい土地を好むアベマキでした。
他にはアラカシやウバメガシ
どれも穏やかで温暖な瀬戸内の実りでした。
山深い
四国山地ではあまり見かけません。
そして歩く里の山は
島のように点在していて
陽の傾きがよく変わります。
標高200mあまりの
最初の小さなピークに着いた時
コンコンコン・・・
ゆっくりと刻むゲラのドラミングが聞こえました。
「ほら、あそこに!」
かおさんの指さす方向を探すと
高い木の上のコゲラを見つけることができました。
小さな丘のような山を
いくつか越える
そのどこからも瀬戸内の景色が見通せる
讃岐らしい穏やかな海を眺めながら
平野の島巡りをしたような
春の道でした。
啄木鳥や落葉の上の日のしづか 伊藤柏翠