「八丁はまだ?」と和宏さん。
単調な杉林の風景を歩き
1990年新築された避難小屋に着く。
ここは私たちも思い出多い場所。
◆眠る森のこと
避難小屋で休憩した後
山道は再び落葉樹の森に入る。
「あれが三嶺で」
tochikoがアリンコさんに告げる。
私は落葉し景色が開け
落葉がカサカサ乾いた音を奏でる
雪が降る前の自然林歩きが好きだ。
◆カンカケ谷のこと
いったん谷へ下る山道は
ザレ場もあり注意を要する。
カンカケ谷に降り
渡渉点の河原で一本立てた。
西熊山域の沢を登り尽くした私は
カンカケの水が一番美しいと思う。
◆峠道のこと
この山道はかつて山を挟む
土佐と阿波の集落を結ぶ峠道で
物資の往来が盛んな頃があったと言う。
また登山以前の山道は
樹木などが障害物が少ない
沢筋を歩くことが多かった。
◆大桂のこと
カンカケ谷源流の近くに
樹齢300年を越える桂の木があり
この木は友人のカメラマンにより
地方銀行のポスターになった銘木。
私達が通い始め30年の間に
樹勢が衰えた様に見えるが
主幹を囲み生える「ひこばえ」に
まだ衰えぬ命の力を感じる。
さあ
ここからが正念場だ。
岨(そば)行けば音空を行く落葉かな 太祇