猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋終わる奥物部の森 残る花

                       

 「河童予想大当たり」

三つのかよう森の標高や
地形などを過去の記憶と
照らし合わせ順番を決めた。

◆静かなこと

 「下はまあまあでも
    ここはいつも静かやね」

 登り口の気温14℃は
例年よりやや高めだろう。

「昔この時期は
  林道も渋滞やったにね」

 茶屋に行列が出来て
里人らも嬉しかったろうにね。

                                         

◆残花のこと

 「風ないね」

 源流への山道は昭和に
敷かれた林道から始まる。

 稜線も穏やかだろうな。

秋が深まり道端に残る花が
風景に僅かな色を添えていた。

                      

 やがてこれらも
命を繫ぐ実を結ぶ。

 いい佇まいだなぁ。。。

 

◆紅葉のこと
 紅葉は樹々が落葉する前に
大切な葉緑素を幹に仕舞い
残った色素で葉が染まる現象で
色の濃淡は日照時間に左右される。

           

 他国の紅葉の色は3種程度だが
日本は27種の錦織りなす紅葉があり
それは外来種が複雑な地形に残るためで
春紅葉でも淡く優しい色合いを見せる。

 日本は地震や台風も多いが
その厳しさ故に利他で強く調和した
命らの柔らかい自然を恵みの神と崇めた。
そんな唯一の国に生まれて良かったと思う。

                             

◆森のこと

 「きれいなねぇ」

 人間の記憶では比較できないけど
日照や降雨量で毎年紅葉は違うはず。

 調和を感じる風景やな。

 芽吹きは大地から始まり
頂上と高木から始まる紅葉は
高低差による気温の違いなどの
単純な事ではないように思うなぁ。

                 

 「空が明いたね」

 今年も順番を守って
紅葉し枯れて大地に還る。

 侘び寂の一期一会やな。

                 咲き残る花にかしづき花供養  西村和子