猿板

遊山黒子衆SARUの記録

寒戻る奥物部の森遊山 山桜

                                                                   

 「これはウツギ?」

 夏の花が蕾をつけ始めた。

 そうだと思う。
5月6日は立夏の入りだ。

◆夏兆すこと
 この若葉が透かす明るさも
林道に挿す木洩れ日も5月まで。
また鬱蒼とした夏の森になる。

 30年で随分茂ったなぁ。

◆春紅葉へ

 「この桜も終わったね」

 高木だから花は見づらいが
若葉のサクラ色は見事だなぁ。

                                     

 同じ山域にいる山桜でも
微妙に色が違うのは何故だろう。

 「山がもえもえしてきた」

樹種が違えば若葉色も様々な
今年も春紅葉がはじまった。

 芽吹きは1200mまで来たな。

 「また通わないかんね」

緑のトンネルが楽しみだな。

                 

◆渓へ下る
 両側の山が迫った林道は
古の峠に上がる終点に近づき
山麓から吹き上がる風が強くなる。

 終点手前の道標から
林道を別れ渓へ下る山道に入り
奥物部の森の懐へ分け入った。

                 

 「咲いちゅう
   山桜咲いちゅうで!」

 日照時間の短い渓底は
日当たりの良い林道を違うのか。

 こっちの葉桜もえい感じや。

     

◆長笹谷

 「花びらが
    流れてえいねぇ」

 上韮生川の支流の渓へ降りた。
 この日この時の一期一会だな。

 杣が架けた橋を渡り
白髪山からカヤハゲに入る。

                       

 「この花びら
   どこまで流れていくろう」

 すごい数やから
海までいくのあるかもな。

                     山又山山桜又山桜  阿波野青畝