猿板

遊山黒子衆SARUの記録

台風一過の三辻山遊山 結

                                         

 山頂に向かう道すがら
昨日の大雨で落ちたのだろう
躑躅が花筵で迎えてくれた。

◆山頂のこと

 「あれ 白波!?」

 台風が通過中とは言え
山から白波がみえるとは。。。

「これも一期一会やね」

 太平洋から四国山地の高峰まで
見渡せる標高約1100mの山頂には
台風から強い風が吹き上がっていた。

 山は遮るものがないきね。

◆混生林のこと
 杣道が通る三辻山北斜面は
自然に生えたブナと樫が並ぶ
暖温帯と冷温帯樹木の混生林で
奥物部と同じく山桜が多い。

           

山が海に迫り平地が乏しいが
温暖多雨の恵みを受けた土佐人は
山深くまで集落を作り生きてきて
木地師が長く滞在する里も点在した。

 山に生活の糧を求めた先人が
森に入り薪をとり炭を焼いた事が
自然と共生する間伐となったことを
極相林には居ない山桜が証している。

                 

◆まほらに入る
 苔むした石積がある
若葉に囲まれた杣道を辿り
この森のまほらに分け入る。

 森の中のもう一つの森は
山麓から風が強く吹き上げていた。
やはりここは鞍部で鳥や種が通る
命たちの峠道なんだろうな。

                                     

 「もう実が出来ちゅうで!」

どうも今年は豊作やな。

 

◆かえり道

 さあ 帰ろうか。

 大陸も島もその自然環境に合わせて
互いに役立ち合ったものが調和を取って
出来ない命は消えていったと感じている。

                                                   

その山や海辺の里で先人なりの調和で
今まで島国で生き残ってきたと思うが
この先の日本人はどうなるのだろうか。

 

3億年生き残った遺伝子は
 「群の喜びが我の喜び」
それは善とか悪や上とか下ではなく
自然淘汰の結果でしかないのだから。

           

 「気持ちえい
    遊山やったね」

 台風も自然現象。
上手く付き合わんとね。

                       山又山山桜又山桜  阿波野青畝